厚生労働省が特定疾患に指定する難病「多発性硬化症」が悪化する詳しい仕組みの解明と、症状を緩和させる薬剤の開発に、東京都神経科学総合研究所など日本・スイスの共同研究チームがマウスの実験で成功した。チームは「新たな薬剤療法につながる」と期待している。欧州分子生物学機構機関誌で発表した。【須田桃子】
多発性硬化症は脳や脊髄(せきずい)、視神経などの中枢神経に炎症が起き、視覚や歩行に障害が出る病気で、国内に1万2000人以上の患者がいる。その8割が20~40代と若く、悪化すると失明したり、寝たきりになることもある。発症の仕組みは不明で、治療法は炎症を抑えるステロイド剤や免疫抑制剤などの対症療法が主流だ。
多発性硬化症による障害は、視神経や脊髄の神経線維を覆うカバー(髄鞘<ずいしょう>)が炎症で壊れ、情報を伝える電気信号が漏れることで起きる。同研究所の郭暁麗研究員(神経科学)と原田高幸部門長(眼科学)らは、脳神経細胞の働きを支えるグリア細胞で働く遺伝子で、生物が生まれつき持つ自然免疫の仕組みを制御するASK1(アスクワン)に着目。発症すると、細胞内でASK1が過剰に活性化し、炎症を起こすたんぱく質が多量に分泌されると推測した。
(引用元yahooニュース)
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